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Our Stories


鈴木成裕活動歴Ⅱ-1(昭和50年~59年)

(Ⅱ)現研のあゆみ

昭和50年(1975年)~昭和59年(1984年)

―事業の深化・充実と国際化加速への対応―

神武景気の後のなべ底景気、所得倍増計画と続いた昭和30年代、CNP世界第2位、いざなぎ景気、列島改造論、そしてドルショック、オイルショック、マイナス成長と後半は激震に襲われた40年代、続く昭和50年代の日本は、過去最高の企業倒産件数(12606件)を記録するところからスタートしました。
インフレは依然として深刻でありましたが、一方で、国際環境には、ベトナム和平協定の調印、日中平和友好条約締結、第1回サミット開催等、従来の枠組みを超える新しい動きも見え始めていました。

(Ⅱ-1)逆風の時代を迎えて:集団および個人の行動原理の追究

(1)ドルショック、オイルショックから学んだこと

ところで、日本はドルショック、オイルショックと言われる衝撃から何を学んだか。昭和50年代に入ると、さまざまな分野で、当時の狼狽ぶりを省みつつ、このような検討が試みられるようになりました。

大規模技術神話へのこだわり

1994年6月22日(水)毎日新聞夕刊より

当時、この問題に対して、経済・産業・企業動向の観点から、現研の山本尚志上級主任研究員は、
「この結果もたらされたインフレは、各企業の戦後復興への投資負担(労働集約型設備への投資を含めて)を軽減させるには格好の恵みであったが、経済政策理論はローコスト社会へ動く方向には進まなかった。なぜか?確かに、省エネ型産業への産業構造の転換も政策課題ではあったが、当時の日本には大規模技術神話が根強くあり、かつその下での所得倍増効果が余りにも大きかったからである」と、「現研活動史」(2004年作成)の中で、自身の見解を述べております。
同じく、当現研の上級主任研究員大島和義は、昭和60年代に入ってから、当時を振り返って、次のように、企業の内側の視点からこの問題に論及しております。

山本尚志上級主任研究員
大島上級主任研究員

 新規採用ストップ、
人材空洞化、労務費アップ

業種別年収総額(高卒男子)

「昭和50年、51年、52年、ほとんどの企業が先行きへの展望がもてず、新卒の採用をストップした。中には、入社内定者の自宅待機、さらには内定取消しという事態も一部発生して、新規に社会に出てくる若者たちにとって、また子どもたちの将来を見守る各家庭にとって、非常に厳しい3ヵ年となった、また、この時期の採用ストップという措置は、後日、企業組織においても人材態勢の空白という形になって、各社の経営に長く尾を引くこととなった。
さらに、採用ゼロの影響は、特に、当時の労使交渉の眼前に、日本の賃金体系に内在する次のような問題を示す契機となった。
すなわち、日本の労務費は、その年齢型賃金体系の下、若い人員が増えれば増えるほど平均値が下がっていき、業容拡大期にはそれだけ企業側に有利に働くようになっている。だが、縮小局面では、その逆である。例え採用を止めてもその分、平均値はさらに上昇してコストアップとなり、利益は減り、市場競争力は失われる。仕事は国内においておきたいが、海外に移転するという企業の選択は、このことと直結している。」

確かに、この両者の指摘には、学ぶべきこと、是正すべきことの多さを自覚しつつ、当時の国も企業も将来の対策より、目前の現実への対応を優先していた事実が感得されます。

集団と個の関係変化の兆候

尚、当時の状況に関して、現研活動史(2004年)には、また別の視点から、山本による次のような記述もあります。
「この頃から、日本の働く人たちは組織に頼り切ることは出来ないし、他の人に頼ることにも限界があると考え始めるようになった。つまり、本格的に個人としての自分の存在問題を確かめる志、思考に目覚めたのである。しかし、未だ仲良しクラブ的な発想で何とかなるという微温的な体質から完全に抜け切れていたわけではなかったし、思考の核心に触れる段階、また思考が行き詰ったところから発想の転換、創造が始まると認識する段階には、至っていない状況にあった。」

働く人々の間には、集団と個の関係に対して、今までのあり方に対する漠然とした懐疑、新しい流れを模索する動きが生まれ始めていたのです。

(2)「自分を超える思考」-鈴木成裕著

昭和51年6月、鈴木成裕所長は
「自分を超える思考」(鈴木成裕著、1976年 同文舘出版刊)を刊行します。

1.執筆の周辺

本書の主旨:
自分を超える原点としての思考

鈴木成裕所長

本書のサブタイトルは、「変貌する個人と集団の行動原理」です。
「はしがき」の中で、鈴木は本書執筆の主旨を述べるに当たり、先ず、「現在までにも、発想の転換、行動方式の転換は言われてきたが、具体的にそうする差し迫った現実の下で、この状況に対応する手段は、つめていけば個人個人の“思考”の問題に帰着する」と記しております。
そして、「この種の問題は、本質的には、個人および集団がいかに望ましい方向に向かって、問題を乗り越える行動を展開するかにかかっており、しかも、どうしても一定の枠にはまりがちな(個人としての)自分たちの思考もまた、その行動の仕方にかかっている」と続けます。
そして、本書について、「私自身の思考というものに対する考え方の基礎である“場の考え方”と、“視点導入の考え方”と、“コンセプトの考え方”を、まとめの基礎に援用しております」と記します。

新変化の出現ー対応から克服

上記の執筆の主旨の前提にあるのは、昭和51年当時の、鈴木の目に映じた日本および日本を取り巻く変化のありようと、集団及び個人の姿です。
本書のP.56~59からの抜粋です。
「現在及び相当期間の変化は、逆流してくる変化を含む主流に対して、全く横から水平に飛び込んでくる流れの変化を含む、そういう変化である。
例えば、経営参加といわれる考え方に基づく労働側の使用者側への参加や、ボトムアップの流れが主流となっているのに突如、上からの統制的な管理方式に転換したり、ある集団が大集団化に向かっていたのに、不意に解体、小集団化の動きに向かったり、・・・・、
このような逆流変化を含む変化の中の集団および個人の行動原則は、主体性の強化と、それを守り通し、かつ意図を実現できる力、または方法発見力ということになる。
変化の時代の行動原則の一つは、決して、一般に言われるように状況対応が起点になるのではなくて、状況克服が起点となり、次の概念に状況対応の概念が来るのである」。

本書は、刊行の当初から、広い分野の方々の反響を頂いて参りました。鈴木と同じ経営コンサルタントの方々、大学の先生方、出版社の方々、そして当時は企業の要職にある方々が外部の講師として出向されることが多くありましたが、その方々からもさまざまなご感想、お褒めの言葉を頂きました。中には、「鈴木先生の金字塔」という大手出版社の編集長のお言葉もありました。また、当時、鈴木とごく親しい経営コンサルタントとしてご活躍の先生が、特に第Ⅳ章の10「経営の側面―芸術と科学」の項を大変気に入られてお褒めの言葉を寄せて下さったりも致しました。

2.「思考」を究明する三つの柱:視点、場と野、コンセプト

ところで、鈴木が自身の思考というものの考え方の基礎の一つとして挙げております“視点導入の考え方”ですが、本書ではこの詳細が、丁寧に解説されております。思考視点の重要性とその形成法、追従思考、類似思考、逆思考、混合思考という思考の種類区分とその修得の方法、思考の時間と空間の問題、思考する主体である自分と、思考する自分の存在空間(位置)を“場”と”野“で認識するという思考形成プロセス、組織における個人の思考する力の必要性等々が、論理的であると同時に実践的に次々と展開され、われわれの思考というものが「視点」の援用と関わり、「場と野の考え方」と相まって、「コンセプト」を確立していく過程が精緻に解明されております

視点の考え方

視点一般モデル表(一部) 『自分を超える思考』p106より

先ず、鈴木は仕事の場にあって、われわれの問題の追求力や、創造的な業務遂行や、合意を基盤にした協同作業の展開を弱めているのは、次のような思考の一般的傾向であると指摘します。P.71章 思考の変革 1.思考の過程 ①同質化と無思考―思考の実態)

1.思考の内容や視点の共通性と同質性
2.考える過程の混乱と思考の短絡
3.論理性の放棄
4.イメージによる意味の補足
5.論点、視点の移動現象

「IE」1976.10月号
((社)日本能率協会)

ここで、鈴木は、自ら具体的な課題を提示し、受講メンバーから解答を得た研修指導の経験から、例えば「あるもの」から何を連想するかの問に対して、人が連想するものが余りにも似通っていることに触れ、「解答はほぼ、ものそのものの構造、その類似品、そのそばに連続して在るものの範囲に絞られている」と指摘します。また、その一方で、この「あるもの」とは逆のものを連想せよ、という課題に対して、解答者たちが一斉に困惑の様相を呈し、返答に窮するさまを伝えています。
そして、『このように、「もの」、「コトバ」、「現象」にくっついた発想しかできない』ということは、ある課題に対して、「その背景や本質的な面からの分析をしないで、つまり問題を客観的に見ることはしないで、問題の中にのめり込んで、新鮮な発想ができずに行き詰ってしまうことになる」との危惧を表明します。
そしてまた、「われわれの社会自体にある大同小異の生活、画一化された人生行路、規格的な過去の教育が、見事に思考の同質性、あるいは均質化現象を生んできた」と、日本社会に根強くある、その伝統的風土に言及しております。

「だが、人は、とっさの解答を求められた場合、意味内容を考えるより先に、イメージで対応していくために、解答が均一化しがちであることは避けられない。ここで、次のような指摘を解答者たちに試みる」と鈴木は続けます。そして、この指摘によって、解答には明らかな変化が現れてくるとします。
それは、「われわれが思考するときの基本は、視点の決定が重要であって、その視点から問題・現象・動作・コトバを分析すれば、豊かな情報が現れてくる」という指摘です。すなわち、「あるもの」を見極めるためには、自分の中にいくつもの視点を持つこと、そして、客観的に対象を捉えるためにはどの視点を用いるべきかを決定し、その視点に立って対象を捉えること、そこから多様・有益・適正な情報が現れてくるということだと思います。
この視点群に関しては、本文中に詳細な分類と、それに対する解説が付されております。

「場の認識」

「MGマネジメントガイド」1976年12月号 産業能率短期大学(当時)刊

では、鈴木は、思考に当たって、視点というものをどのように捉え、確立すべきであると考えているのでしょうか。これは、鈴木が同じく自身の思考の基礎としております「場の考え方」、「コンセプトの考え方」とも密接に関わっている事項です。次のような記述があります。
「現在のわれわれの社会には、仕事や遊びや会議や旅行など、たくさんの場があり、この場は、ほとんど、その場、その場特有の原理で動かされていて、他のもろもろの場と区別されている。そして、この場は、それぞれ違っているが、共通の面もある。その一つは、行為や活動が行われるとき、その場の存在に理由を与える概念上の事項・事柄であり、これは“目的”で表すことができる」。
すなわち、『すべての場はある「原理」を持ち、ある「目的」を持っている。そして、目的を達成するための「機能」を持っている。経営集団なら、そこに経営原理、目的、機能、そしてその機能の主体者としての人間、及びもの、情報、システムなどがある』と捉えます。
つまり、「場」とは、行為や活動が行われる空間であり、そこに、場としての存在理由が存し、そしてその存在理由を成就させるさまざまな働きが保有されている空間、ということになります。
そして、ある場にあって、われわれがある現象や事象を的確に捉えようとするとき、われわれの視点となるのは、その場の原理であり、目的や機能であり、さらに人やもの、情報やシステムであるということになります。

時間と空間の分離ー
コンセプトの形成へ

ここで、鈴木は、思考の視点として最も重要なものは「時間」と「空間」であり、この二つは、それぞれ、例えば季節、月日、年号とか、位置、大小、高低など、多様に細分して捉えることができると、論を進めます。
「ところで、人間が時間と空間をわけて考えることができるようになったとき、人間に思考の本格的なはじまりがあったと考えられる」そして、『この歴史は、ずっと古い昔もあったことだろう。意識の上で、時間と空間を分離することができる能力を持ったことは、人間が道具をもったこと、火をおこすとか、棒を使って何かを掘る動作を覚えたことと並んで重要なことなのである。このことは広く文化や文明のような「人間や社会のあり方の表現」をもたらす大きな原因の一つになったと共に、直接的な思考の展開の中で、特にいろいろな概念(コンセプト)を、問題のいちばん基礎のところからくみ上げていく場合などの出発点となっている』。
ここには、人間の進化の過程に重ねて、例えば、今、この場の主体として活動する“自分”、あるいは○○年先にある場の主体として創造活動を展開する“自分”、というように、意識の上でさまざまな時や場に応じて、さまざまな考えを表現するためのコンセプトをくみ上げていく思考する基本像としての人間の姿が描かれております。

思考訓練モデル 『自分を超える思考』p124より

そして、このことは、人間がある変化を捉える目と、その変化全体を超える何かを持ったということ、つまり「ある意識ともいうべきもの」と、「その意識の中で共に働く思考」が成立し、この思考が主体となって、現実の活動や行動の場にありながら、そこから独立した超越的な意識・思考の場が構築され、そこでの活動が行われるようになったということである、と解説を付します。
これは、現代という時代にあって、過去へも未来へも自由に意識を拡げ、さまざまな言葉を組み上げて概念を導き、思考する“行動する思考体”としてのわれわれ一人一人の姿であると思われます。

すなわち、「この超越的な意識と、その中で働く思考は、恐らく、先ず、われわれの見る、聞く等、五官から得られる感覚行動にひとつひとつ言葉を与え、同時に自分自身の五官についても味覚、嗅覚といった言葉を与えていった。
そして、これらの言葉や挙動の連鎖が情報をつくり出し、それが歴史の流れの中で、自然とか、社会とか、技術、制度、法則等々の概念をつくり出して来た。そして、これらの概念は、人間が活動する時間、空間の中で意識され、思考され、操作され、われわれの世界をつくりかえて来た」ということになります。
『このようにして、「人間」または「社会」の概念は独立したのである。そして、さらにわれわれは、それらを組み合わせ、解体し、接合して、さらに別の概念を創ろうとする。・・・・そして、このような組み合わせは行わないまでも、われわれの思考は、その内より特定の概念を選んで、一つの「視点」として、自らの思考活動に参画させるのである』」(第Ⅱ章 5視点形成過程ー系列・視点表・視点の欠落より抜粋)と結論します。

言葉によって、われわれの思考は概念を創り出し、それがわれわれの思考をさらに広げ、「視点」と「場」と「概念」という強い相関性を持つ三つのキーワードの操作・適用から明快に解説し、自分を超える思考・行動の原理として提示している、この本を読破する醍醐味の一つがここにあると思います。

「場」と「野」

場の断面(概念) 『小集団の論理』p42より

ここで、鈴木が考える思考と「場と野」の問題を、本書によって、もう少し検討し、合わせて「視点}と「概念」の考え方の確認を試みたいと思います。
本書のP.156 第Ⅱ章 7場の移動―価値多様化の要因には次のような記述があります。

「われわれの直接行動する空間は場である。そしてそれを取り巻いて野がある。人間がその場を移動するということは、野を場にすることであるという関係になる。
例えば給与生活者が給与を貰うために働いている会社は、かれにとっての場である。
だが、かれは、夜、ある消費者運動のグループに加わって活動する。その時かれにとっての場は、当然、消費者運動のミーティングや交渉の場である。その時、前にいた場は、野にと転換する。
かれは、野の影響を受けるが、行動を左右するのはその消費者グループの理念や行動である。例えば、このようにして、われわれは絶えず、場の移動を行っている。そして、移動するたびに、その彼自身を含めていた場は転換していく、場自体の様相も変わるのである。
ある意味では、さまざまな場を回りつづけるごとに、さまざまな思考や、彼自身の思想が、それらの場の特性によって変わってくるのである。この転換の原理はきわめて単純なことであるが、現代社会においての一つの特長である。人間はだいぶ前まで、生まれてから死ぬまで、単純な、自然的な場において存在していた。だが、長い歴史の末に社会の高度なシステムを構築した今、場の多様化がさらに進行している。このことから価値観の移動現象や場の中の状況の変質が起こる。」

思考の深化-
多様な概念の生成へ      

 「以上述べたのは、われわれが思考する場合も、最も重要な基点が時間と空間の概念、及びそれがものや人間と一体化したものとしての場の概念、及びそこでの機能の概念、これらが重要であることを強く指摘したかったからである。
この時間、空間、場、機能、これらと、それに人間の持っている欲求が加わった場合、多様な概念が生まれてくる。
この概念は、それが操作され教育されて出来上がったものであると同時に、今後、人の意志や欲求などに応じて形成されていく概念でもある。それらは、また種々に分化することもできる。」

3.若い読者の共感

本書は、A5判371頁に及ぶ鈴木成裕の著書の中でももっとも厚手の書籍です。多くの方々から非常に高い評価を頂き、平成3年4月5日に第11版と版を重ねました。しかし、この書は、当時の主流からは明らかに外れたタイトル、装丁、内容を持ったものでした。布張りのカバー、大判、そして「自分を超える思考」というタイトルも当時にあってはきわめてユニークで、文章も決して平易とは言い難く、かつ値段も高い本でした。
だが、大変意外だったのは、この著書に対する20代、30代という若い方達の反響でした。

実は、当現研の糸井守主任研究員は、この本が刊行されました直後に鈴木を訪ね、本書の内容に関しましてさまざまな質問をしたことから縁ができた人物です。視点の問題と、追従思考、類似思考、逆思考の部分に大きな関心を示していたと、面談後、鈴木は申しておりました。糸井守はまだ30代に入って間もない年齢であった筈です。
お電話で問合せを下さり、鈴木と面談した方もおられました。某大手機械メーカーの品質管理をご担当の方で、「今まで私が読んできた本とは全く違う」と実感をこめておっしゃっておられました。やはり若い方でした。

糸井守主任研究員
大島上級主任研究員(左)と鈴木所長(右)

そして、某企業の企業内の若い方々による自主的研究会のリーダーから、講師として出向のご依頼を頂いたこともありました。また、お手紙を下さった方々もおられましたが、中の何通かは、明らかに若い方たちでした。大島上級主研もまた、後記いたしております「昭和50年代上期の展望」において、ある社の精鋭部隊の一人が本書に注目し、読み込んでいたこと、そして鈴木に教育研修、プロジェクト指導を依頼されたいきさつを述べております。この方は28歳だったと記されております。

野生の思考

これからの日本、日本の企業を担って行く若い方たちからの反響は、鈴木にとって本当に嬉しいことであったと思います。
本書の終章 個人の力「野生の思考」の項は、ある意味で、これから企業という組織を担っていく人たちへの、鈴木の期待を込めたメッセージの趣を帯びております。この期待に応えて下さった若い人たちがあちこちに実在し、声をかけて下さったということは、筆者にとって大変幸せな「出来事」であったことは確かです。

本文、P.309からの引用です。
「日本全体の状況の中で考えると、学校においても、家庭においても、一般社会においても、経営体においても、ダイジェストされたものばかり、つまり消化のいいものばかり与え続けられている傾向がある。・・・その上、絶え間ない刺激を与え続けられ、考える力が弱められてしまっている。
顔はちがうが、気持ちの中は、みんな似たようなものになってしまっている。その事実に気が付かないで、自分とちがったものを見ると、うさん臭そうな目付きをする。しかも、もっと悪いことに、何かを、なんとなく貰うことで生活し、行動することに慣れ、さらに進んで、貰うことが権利であるように思い込んでしまった人々もいる。
一方、リーダーであると思っている人たちは、そのような期待に合わせて何かを拾ってきて、提供することが責務だと思っている。そして、みんなの反応が良くないと、また一生懸命、探し始めるのである。
これは茶番ではないか。この茶番劇から脱するには、失われた「考える力」を、自分の中に回復させることから、主体を回復させるところから、始めなければならない。その回復には、そのような場づくりから始めなければならない。時によっては、新視点の導入から始めなければならない。そして、その場では、時には自分の餌を自分で探す野性の復権も必要である。そこから思考再形成が始まる。」

(3)現研の「教育研修大系」

企業内研修風景

 「自分を超える思考」は、昭和51年7月の上梓です。したがって、鈴木の実際の執筆の一部分は、その前年ということになりますが、この本の構想自体は、もう少し前であったと記憶しております。
昭和40年代の特に後半以降、現研は日本の大手企業のご依頼を受けて、東京、関東圏ばかりでなく、九州、四国、関西、北陸、東北地域まで、幅広く企業の研修指導を行なって参りました。
下記は、昭和50年に作成されたパンフレット「活動あんない―現研教育研修のあらまし」からの抜粋ですが、ここに記されております内容から、現研の教育研修大系が、この時期には既に本格的に構築されていたことが伺えます。「自分を超える思考」において紹介されております鈴木の独創的思考法も、管理職研修の現場で既に実践されており、高い評価を頂いていたのです。
その意味では、「自分を超える思考」という本は、思考し、実践する自分、そして創造へと飛躍する自分を研磨するために考え抜かれた教育研修の集大成の側面を持った書物であるということも出来ると思います。

実は、昭和50年7月、現研は創業から10周年を迎えることになっておりました。鈴木所長には、この節目に、現研独自の教育研修活動の大系を整備・確立することも念頭にあったと思います。

1.当「教育研修大系」の基本思想

企業内研修風景

当現研の教育研修指導の特徴は、前記パンフレットの中で次のように記されております。

▪️教育研修をテクニックの面からでなく、経営全体の立場から位置づけます
▪️長い間かかって積み上げてきた教育指導のソフトウエアをもっています
▪️知識と実際行動を一体のものとして扱い、高密度の多重な指導が基本です
▪️人間の欲求、思考、論理を重視すると共に、問題解決の方法を重視します

また、現研が提起する教育研修の柱として、次の項目が挙げられております。
①プロジェクトによる問題解決に協力する
②業務改善に参画し部門機能の強化を推進
③マネジメントの職務遂行能力を強化する
④社内定例教育としての昇格者の訓練実施
⑤産業変革の徹底研究と上級管理者の育成
⑥教育システムの改善・設計に助言・協力

2.研修の諸タイプ

1)会議型業務研修

そして、研修の紹介として、先ず
過去に実績をあげた研修の諸タイプが掲げられております。

当現研が豊富な指導体験をもとに、繰り返し実施したプログラムで、指導、演習、討議、講義、実習を積み重ね、現実の実務の改善や問題解決を目指す教育研修方式

①プロジェクト・タイプ
経営管理原則の徹底強化:多様な思想流入がもたらす混乱の打破、管理者とは、システムの原理・・
変化に対応する全社的意思統一推進:過去を切り捨て新しい発想へ、内外変化条件の分析、今後の行動方式の討議・・
長・中期計画の再設定と問題の洗い出し:環境分析、市場再点検、自社能力の構造分析、新組織モデルの形成、要因評価を通じた新計画・政策案樹立・・
長・中期計画に基づく組織・運営の改善:業務運営力基礎の習得、業務遂行上の問題点の分析・解決策の討議・決定・・
業務の見直し活動の徹底と改善技術・方法の習得:分析・調査技法の習得後、点検計画の立案・実施方式の討議、改善点の集約、解決プログラムの編成・・・
(以下、省略)

②部門別タイプ
総務・人事部門の組織開発研究の推進:組織の現実見直し、展開プログラム策定共同討議・・・
工場部門の効率化実施プランニング:要因問題、費用削減方式、最適在庫の研究から職場への目標徹底までの実施計画指導・・・ 
営業部門のシステム販売戦略の設定と訓練:戦略目標の分解とスケジューリング、販売資源の組織化、営業チームのシステム行動力の強化訓練等の原理と実習・・・
開発部門の商品開発とアイディア会議:市場予測と商品コンセプトの対応関係の調査、アイディア評価基準、情報収集システム設定会議・・・
教育部門の教育マニュアル作成と実施システム:年間教育主題の展開のための教育研修体系の大綱づくりと基本マニュアルの作成要領指導、テキスト編成協力・・・
人事五ヶ年計画の総合政策の設定:人事政策の前提に含まれる仮説の吟味、環境変化の検討、成果、フェーズ、基本項目の相関ロジックの明快化・・・
(以下、省略)

③業務力育成タイプ
部・次長の経済環境の把握力と事業運営力の強化:意識変革、ネクスト・マネジメント研究、判断基礎統計分析、システム問題・・・
情報エンジニアの育成と活動プログラム:顧客への実態分析報告、提案書作成要請の指導、基礎としての情報基本理論、SD手法、データ解析・・・
教育・研修プランナーの育成と自社計画の設定:各種教育技
セールス・マネジャーの管理力強化と実践手法:目標に即した部下統率原理と、動的計画原理を統合し、人間的視点の確立と活動のシステム化を意図、討議、演習・・・
中堅企業発展のための管理・監督者の連続研修:目標実現・問題解決の役割、日常活動の規律化、管理基礎等、ベーシック5アドバンス5、自己開発の意欲を刺激・・・
(以下、省略)

④定例タイプ
昇進・昇格のための係長研修:新管理者の役割と現在能力の直視、潜在問題の事前発見と処理、新管理原則の徹底、部下評価、基準設定・・・
昇進・昇格のための課長研修:部下の欲求の見直し、新産業動向の実態、小集団の原理、新役割認識、管理技法の習得を経て新行動計画書の作成・・・
新入社員研修:企業の目的、行動の仕方、仕事の本質、意欲と方法、目標と役割、チームワークなど、ケース問題の分析レポート・・・

⑤研究タイプ
日本の社会構造、経済事情の分析:伝統的思考構造の点検、財政金融政策と成長の原理等将来行動の前提(上級管理者、2泊3日2回の分析、講義、討議)、
国際化と日本の産業行動の分析:新市場進出、開発援助等の産業活動の国際分業、産業構造の転換過程の分析など、自社製作検討の基礎(2泊3日)

2)管理者の基本形成
(セミ定型コース)

次にセミ定型コースの紹介です。
下記のコースは半定型研修で、実施した多くの会社、団体から、その実践的な内容を高く評価されている。受講者の自己発見と問題解決意欲の刺激を重視すると共に、高密度な指導・講義を一貫した創造理念の下に組み上げていく方式。主題別に、所定の演習を行い、帰社後の実行資料とする。経営管理基盤の強化や、基幹メンバーの開発・育成に適する。

①発想力強化コース
 発想の点検-マンネリズムの打破-視点形成-多重思考演習-その他

②思考革新コース
 思考の構造-論理的接近-マトリックス思考-システム思考法演習-その他

③問題解決力コース
 事実―問題の把握、原因―結果分析、状況分析-問題解決行動とスケジューリング-その他

④リーダーシップコース
 欲求分析-目標と機能-要因改善-リーダー行動の条件-その他

⑤マネジメントコース
 管理原則とシステム-モデル化の検討-職場の組織化-未来予測と目標化-その他

⑥環境コース
 内外変化要因分析-経済予測-経営新原理研究-変化対応のシステム化-その他

これらのコースはいずれも単独で実施することもあれば、全てのコースを実施することもあり、また必要に応じていずれかのコースを選択・組み合わせて実施することも可能。

3)助言・協力活動

そして、
①教育体系と内容への助言
担当者が替わっても、一貫して教育研修が実施されるための方式、教育研修の失敗に基づく教育アレルギーへの対策、社内に反対者があるために教育実施不可能な場合の考え方、効果測定問題についての考え方の整備、研修施設の設計に関する条件、場所、施設に関する情報等に関しても意見を提示思考演習-その他

②設計・制作

特に要望のある場合、教育システム、カリキュラム等の細目設計、ならびに教育マニュアル、テキスト、インストラクター・ガイドの文書化と制作

3.現研の教育・指導カリキュラムの進化と充実

この教育研修大系は、明らかに10年先、20年先、さらには21世紀に向かっての企業の人づくりを視野に入れたものでした。
その代表的な教育研修の一つがスタッフ研修です。この研修について、当時を振り返って、担当講師でありました山本上級主任研究員は次のように述べております。
「これからの人材は、社の中に従来とは違うものを実現するという基本条件を満たす人でなければならない。そして同時に、今の企業の現実をしっかり見据え、それに対峙していく人でなければならない。現研が、そのために、従来の研修プログラムに、より開拓的であり、事業的であり、創造的であり、さらにより人間的である要素を加えて用意したもっとも基本的な研修が、2泊3日型のスタッフ研修である。この研修はプライマリー・コースとアドバンス・コースに分かれている。」
この研修は、当初は2泊3日で展開されましたが、現在は1泊2日型が中心となっており、常に時代に合わせた内容を盛り込み、改良を加えて、今日に至るまで多くの企業に支持されております。

スタッフ研修プライマリー・コース

スタッフ研修プライマリー・コース (講師:糸井守主研)

山本はさらに続けます。
「プライマリー・コースの中身は、研修受講メンバーが、自分が所属する社について、“企業とは何か”、“わが社とは何か”をまとめることを第1の課題とし、次にこれらの企業が活動するときに、どのような方向から、どのようは影響を受けるかを検討することを第2の課題とする。
例えば第2の課題の場合は、社への直接要因を解明すると共に、自社が実現すべき状態を確立するために、研修受講メンバーそれぞれが、どのような活動、作業をすべきかについて、現研が開発した機能活動モデルを提示しながらまとめてもらうことになる。この課題は、夜間の演習課題としてグループ別に討議され、そこでまとめられたものを、翌朝、各グループが発表する方式をとる。
このため、グループ間の競争を刺激する効果が大きく、また、いわゆる研修のための研修から、企業での実践という側面を強烈に意識した内容をデザインすることにより、アプローチのプロセスを通して、到達すべき実現状態のイメージに、受講メンバーが絶えず意識を向け続ける研修内容となっている。
なお、機能活動モデルとは、ある活動を実現するために、その機能を考え、機能では抽象的であるためにそれを行動のレベルに下し、さらに作業のレベルの下すことによって、活動というものを捉えていく方法で、活動から作業へのブレイクダウンを徹底的に習得する技法である。
昭和50年代には、このような内容に挑戦し、受講メンバーが講師の懇切な指導の下に、叱咤激励される方式は現研独自のものであったため、日本の一流といわれる企業で強く支持され、多くの企業で、この研修内容・方式は歓迎された。

この研修は、社の実情に合わせて、同じメンバーに対して、月に1回あるいは2回のペースで、全5回~7回実施することを原則とした。受講者全員に成果を実感してもらうには、どうしてもこのくらいの回数、期間が必要と判断されたためである。

また、鈴木所長は当現研の主力メンバーを能力強化も兼ねて研修現場に投入し、メンバーの早期育成を心がけた。新入のコンサルタントは社内での基本的な教育を受けた後1度か2度講師に随伴すると、次の時には、何の予告もなしに現場で講師に指名され、知識、話し方、振舞い方とも、一人前の講師であることを要求された。」

スタッフ研修アドバンス
・コース

スタッフ研修アドバンス・コース
(講師:山本尚志上級主研)

本研修は、プライマリー・コースを終了した受講者を対象とする研修として開発されたコースです。方法論的には、機能活動モデルを超える試みであり、同じく現研が開発したよりレベルの高いFORFunctionOperationResult)アナリシス技法によって、演習中心に課題をこなしていく研修です。

山本は、この研修に関して、次のように述べております。
「プライマリー・コースを終了した受講者にとっても、これはかなり難しいコースである。
この研修の主題は、“企業、またはある事業が、またはある部門が、ある制約条件の下で、ある望ましい結果を出すためには、どんなインプットを考えたらよいか”にある。この制約条件とは、望ましい結果を出す時に、それに枠をはめるさまざまな要因を指す。したがって、講師には、ある結果を出すに当たって、受講者に絶えずこの制約条件に意識に置き、そしてこれを乗り越えるように指導していくことが求められてくる。なお、この結果を出す方式だが、これは、受講生が社で従来やってきた通常のやり方を踏まえて行うことが前提となる。
さて、研修の最終段階では、受講生に対して、この制約条件の全てを取り払わなければならないことを意識づけるように指導していくことが求められる。最終的に、全ての研修受講者に、望む結果を得るためには制約条件そのものを変革しなければならないと意識してもらうことが、実は、この研修の主眼なのである。

つまり、こういうことである。
例えば、ある業務の望ましい姿を実現するという強い意志をもって、受講メンバーがチャレンジをするなら、制約条件があるために、望ましい状態がままならぬということになるであろう。したがって、制約条件を打破し、変容させることの重要性が、ここで痛感されることになる。ここで、変革の必要性と、そのためにはどのような能力が必要かを受講者に自覚してもらうこと、これがアドバンス研修の目的とするところである。
このような自覚が受講者各位に生まれることは、今後の、企業への直撃要因に対する各種対策が用意されることであり、その意味では、受講者は、ここで、企業を取り巻く環境変化に対する対策構築力を修得したことにもなる。」

スタッフ研修アドバンス・コース
(講師:大島和義上級主研)

アドバンス・コースの実施回数はプライマリー・コースと同じ、またはプライマリー5回+アドバンス5回または3回というように、実施する企業ごとにさまざまな条件を勘案し、適宜組み合わせて施行されます。
山本は、「いずれにしても、プライマリーもアドバンスも、座学中心の研修ではない。例えば、アドバンス研修の場合、研修の成果を社に持ち帰って、各部門のスケジュールに照らし合わせれば、それは即実行計画として活用できるようになっているはずである」と、その効果を強調しております。

プロジェクト研修

プロジェクト研修①
(講師:山本尚志上級主研)
プロジェクト研修②
(講師:鈴木成裕所長)
システム能力育成プロジェクト研修
(講師:大島和義主研)

さて、アドバンス研修を終えて、自社や地部門にとってどのような変革が必要であり、そのためにはどのような能力の修得が望まれるかを自覚したメンバーを、次にどのように指導したらよいのか。これは、複雑で、デリケートな問題です。
山本は次のように解説します。
「これらの人たちには、プロジェクト研修が有効である。ここでは、従来のやり方そのものを改革することが目的となる。これを現研では、戦略型研修と名づける。
ここでは、事業構想、経営構想という概念を主軸に据え、企業の各局面における構造を把握し、その構造がもたらす実現状況を内容とする構想を確立する。プロジェクト研修とは、企業が、その構想の下で、絶えず活動の評価、再設計の試み、競争力の強化を実現し続けていかなければならないという思想によって展開される研修である。
したがって、講義による研修ではなく、事業、経営、あるいは業務に関わるある課題について、現研とクライアントのメンバーが共同討議を行い、きちんとした成果を出すことが前提となる。このため、例えば、スタート時点では、“望ましい状態を実現するための重点10か条”というような課題が出される。
これらは、構想をベースにした現研研修シリーズ、現研プロジェクト・シリーズと名づけられ、企業が進もうとする道に横たわる多事・多難を克服するための方法論修得コースとして、独自に開発されたソフトを組み込んで整備されている。

また、この共同討議・研究の成果は、通常、報告書あるいは提案書として、経営トップおよび上層部に提出される。

大島上級主任研究員も、現研が開発したシステム能力育成プロジェクト研修の担当講師の立場から、この当時の時代背景と企業のニーズの変化について次のように語っております。


システム能力育成

プロジェクト研修
―企業に新たな文化・文明が入ってきた

1982年7月号
(通刊165号 vol.18)
「情報科学」情報科学研究所刊

注:本グラフは、上からOA、オフコン、パソコンという言葉を、それぞれ見出しに含む新聞記事がどの位あったか、その件数の推移を1977年から5年5か月にわたって示したものです。


経営にとって、経済や技術は大きなテーマだが、同時に、文化・文明も大きなテーマである。
昭和50年代は、その意味で、日本の経営にとって一つのエポック・メイキングの時代であったと言えると思う。
例えば文化である。昭和40年代までに企業に入ってきた若者たちは、安保闘争とか、学園紛争、ベトナム反戦運動、最後には連合赤軍事件等、何らかのかたちで、いわゆる世の中の政治的な空気を吸い、社会の改革的風土に肌で触れてきた人たちである。
だが、昭和50年代に入ると、このようなムードは消えて職場の雰囲気は一変する。難しい話は通らないし、古い昔のことには関心がもたれない。職場はトレンディな話題やアイドルのこと、ミュージシャンたちのコンサートや新曲のことなどでいっぱいになる。
加えて文明の決定打とも言うべきは、コンピュータの席捲である。オフコンが導入され、自分たちが使いたいようにソフトを作って使いこなす。昭和53年9月に東芝から「JW-10」がデビューしたのをきっかけに文書はワープロ打ちとなり、技術、製造部門ではCAD、CAM、いわゆるCAEが加速して業務は様変わりする。職場で、新しい文明の利器を何の抵抗感もなく鮮やかに使いこなす若い社員たち。

このように組織の旧いヒエラルキーを心理的にも相当にぶち壊したキーボード文明の到来とその急速な浸透によって、どの企業にとっても、システム能力の向上は急務となった。この要請は、コンピュータ部門や関連部門の人たちだけに求められたのではない。組織内のあらゆる職場に、横断的に、スピーディな能力の強化が要請されたのである。

実は、当現研で、このシステム能力の研修を開発・推進したのは先ず山本、次いでわたくし大島であった。山本が推進したのがシステム力強化研修であり、大島が進めたのがシステム構築力育成研修である。
その後、山本と大島は、さらにこの研修で力をつけた人たちを主要メンバーとして、企業における情報システムや業務システムの開発プロジェクトの指導を精力的に展開し続けた。

4.調査・研究

調査・研究のための
現研メンバーによる主研会議

現研の事業活動の主たる柱の一つは教育研修であるが、企業の経営・事業に関わる調査・研究も重要な柱である。
これはクライアントからの特別要請による課題に沿って行われるのが通常であるが、時には現研の方から、将来必ずその社が直面し、解決に苦慮することになる問題について、先手を打つ必要から、調査を提案する場合もある。
これらの調査は、事業環境に対する経済学的、社会学的基礎動向、例えば景気動向、消費動向、クライアント企業を取り巻く競争環境等を精査するところから核心テーマの解明に至るまで、必要に応じて、現研の外部協力メンバーの専門的協力を得ながら行われ、その結果は調査報告書としてまとめられる。
また、調査の節目節目では、クライアント企業の方々との綿密な協議が行われ、クライアントの意向に沿った調査となることに、細心の注意が払われる。

調査は、大型のものである場合、期間は6ヶ月とか、9ヶ月に及ぶものもあり、他の仕事と重複しながらの、また時には海外を含めた実地調査を必要とする活動となるため、メンバーに相当の負担を強いるものとなるが、いずれのメンバーもこの調査業務には、強い関心、熱意と真剣さをもって取り組むのが常であった。幸い、これまでの調査は、クライアント企業からいずれも高い評価を頂き、現研の信頼強化に役立つ成果を挙げてきた。
なお、この調査の報告は、クライアントが開催する○○発表会の席上で発表されるが、ここでは、行われた調査が如何にその社の立場に立って、社の現在及び将来状況を正確に把握し、見通しているかが厳格に問われることになる。