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人事制度設計

経営戦略実現のプラットフォームとしての人事制度

人事制度は経営戦略実現のプラットフォームである。そのような認識のもと、現研は経営戦略の実現力を強化するための改革ならびに制度設計を支援します。

各社の課題-戦略の高度化が生む経営の意図と現場の受け止め方とのギャップ

各社の2030年にむけた、あるいはその先を見据えた長期ビジョンは高度な戦略群で彩られています。従来の自社の殻を破る意志のもとで新たな方向性が打ち出されており、それゆえ戦略を表現する言葉も新しいものになります。また、これらの戦略群は部門、現場の経験値の外にある領域を志向しているので、必然、部門・現場が当面している現実とギャップがあります。経営が打ち出す戦略群が未来志向で現状打破的であるほど、部門、現場の受け止め方との間に生じるギャップが大きくなるのです。

戦略を再創造する力の育成を教育施策に組み込む

このギャップを克服する役割を果たすのが管理職です。経験値の外にある未知性、新規性の強い戦略は、部門や現場の目標へとそのままブレークダウンすることができないのが普通です。ですから管理職は、経営が発信した戦略を主体的に受け止めて、そのコンセプトをつかみ、自分の担当領域でどう展開するかを構築します。これが戦略の再創造です。

管理職は自ら再創造した戦略から部門レベルの目標をつくり出します。そしてその目標をさらに現場に落とし込む際に、社員とコミュニケーションを十分に深めて現場が行動変容を起こすための目標を再創造します。そして現場の目標(戦略から見るとサブ目標)をつくり出します。
管理職がこのように戦略、目標の再創造を行うことで経営が発信した戦略のコンセプトが現場に正しく届き、現場は戦略実現のための行動を明確な指針のもとで展開します。現研の幹部、管理職、リーダー等の研修には、実際の経営戦略を自分のフィールドに展開する戦略へと再創造するスキルを身につけるプログラムが組み込まれています。このような教育施策を常態的に組み込むことで、経営戦略実現のプラットフォームとしての目標管理制度がしっかりと機能します。

評価の再定義へ-評価の目的は「成長」「育成」

人事制度には、人事考課をはじめとして様々な「評価」の仕組みが存在します。「資格制度」「報酬体系」「昇進・昇格制度」のみならず「タレントマネジメント」「キャリアデザイン制度」等も評価の仕組みを構成しています。
2020年代の現研は「評価の再定義」を核とした人事制度改革に各社と共に取り組んできました。会社は何のために社員を評価するのか。それを各社と共に深く掘り下げて検討し、評価の目的の第一義を「社員の成長」に置きました。そして、人事考課からキャリアデザインまですべての評価の仕組みを、「社員の成長」「社員の育成」の観点から見直すことで、各社とも社員が生き生きと働く未来を展望できる人事制度ができあがりました。
社員がどうすれば成長できるのかを問い続けて、評価の仕組みをアップグレードし続けていく。この姿勢を貫いていくことで会社と社員の関係は力強いものになります。

<参考記事>
「戦略、目標の再創造」を
考える参考として「話題の映画と小説に学ぶ上司と部下の理想像と反面教師」(週刊ダイヤモンド掲載)をご覧ください。

新時代のキャリアデザインーマルチトラックシステムへ

20世紀の日本経営においては、社員の生涯雇用を前提にライフステージに応じて役割と報酬を安定的に向上させる人事制度とその運用が社員のロイヤルティを高めて結集力をつくり出す基盤として機能していました。しかし、現在、この仕組みは働く人々の価値観を受け止め切れるものではなくなっているというのが共通認識になっています。

どのようなキャリアデザインを共有すれば、社員は自らの挑戦の舞台としてわが社を選択し、生き生きと成長し続けるのか。そして会社は社員が働きがいを感じて挑戦できる舞台をどうつくり上げて、そこで発揮される活力を会社の発展つなげていくことができるのか。

この命題にこたえるべく新時代のキャリアデザインの制度設計に挑む企業の取り組みに現研は協力しています。
会社の仕事のどこに意義を見出すのか、あるいは会社と私生活の距離をどうとりたいのか等の個人の価値観、それぞれの仕事にとっての最適な働き方、個人が背負っている事情と環境等がどんどん多様化している現在、キャリアデザインに求められる基本コンセプトの一つが、「生き方を選べる自由」です。多種多様な社員のキャリア希望を、一律的なキャリアパスの標準形に収めることはもはや現実的ではなく、マルチトラックシステムが求められています。レギュラートラックとは別に個人の資質、才能、特別な事情に適合させたり、個別の業務に最適化されていたりする勤務形態、昇進昇格、報酬体系を可能にするパーソナリゼーショントラックを用意する必要があります。
このようなシステムを織り込んだ制度設計をクライアント企業と共に推進しています。これからのキャリアデザインをどうつくり上げるか。この命題は一つの会社の枠を超えて日本経営の新たな根幹をなすテーマです。たくさんの企業の皆様と語り合いながら新しい日本の経営モデルを共に創り上げていく決意です。

補足:上図中の「ファーストトラック」とは、本籍としているレギュラートラックでの職位・職階に比して、数段階高いミッション、高度な目標を有する職務を付託され、そのミッション、目標を達成することで高速の昇進・昇格が実現するキャリアコースのことです。